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2008-10-27朔太郎音楽祭2008 第3回全国マンドリン四重奏コンクール感想

第3回全国マンドリン四重奏コンクール感想

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10月25日(土)は群馬県前橋市で開催された第3回全国マンドリン四重奏コンクールを聴きに行きました。

前橋

初めての前橋は、静かで川や緑が美しい街でした。*1

マンドリンは日本ではマイナーな存在です。このような貴重な場を提供してくださっている主催者の皆様、スタッフの皆様に感謝します。

また、前橋市民の皆様が聴衆として大勢訪れマンドリン音楽を楽しもうという様子、またボランティアとして明るくきびきびと働いてくださっている姿からは「~マンドリンのまち前橋~ 朔太郎音楽祭2008」(コンクールは音楽祭の催しのひとつ)が前橋のまちに根付き、支えられていることがわかり、マンドリン合奏愛好者として大変うれしく、ありがたく思いました。

コンクール本選 前橋市民文化会館小ホールにて15時から開催

f:id:kana-ken:20081025142752j:image:w300

聴衆はかなり多く、左右端の方の席は空いていましたがそれ以外の見聞きしやすい席はほぼ満席でした。マンドリン関係者以外の一般のお客様も多数いらっしゃった様子なのが、先に書きましたように大変うれしく思えました。

出場団体

コンクール本選は、テープ審査による予選を通過した次の8組の皆さんで行われました(演奏順)。演奏時間は各団体10分です。

  • Mandolin Quartette Cocoon 
    • 弦楽四重奏曲第2番ニ短調第3楽章 ノクターン (A.ボロディン)
    • 男性4名。マンドリン2、マンドラ、マンドロンチェロ
  • 鎌倉カルテット219
    • 東洋の印象第1組曲 (A.アマデイ / 鎌倉カルテット219編曲)
    • 男性2、女性2。マンドリン2、マンドラ、ギター
  • Amenita
    • ルーマニア幻想曲「ナデーヤ」 (M.マチョッキ)
    • 女性3、男性1。マンドリン2、マンドラ、ギター
  • トルバドール・マンドリン・カルテット
    • 四重奏曲第2番より第1楽章 (A.バッチーニ)
    • 女性2、男性2。マンドリン2、マンドラ、マンドロンチェロ
  • 湘南プレクトラム・フォー
    • 「四季」より冬 (A.ヴィヴァルディ / 湘南プレクトラム・フォー編曲)
    • 男性2、女性2。マンドリン2、マンドラ、マンドロンチェロ
  • マンドリン アンサンブル アリエッタ
    • 牧歌 (R.カラーチェ)
    • 女性4。マンドリン2、マンドラ、マンドロンチェロ
  • Clover quartet
    • 弦楽四重奏No.77皇帝より第4楽章 (F.J.ハイドン)
    • 男性4。マンドリン2、マンドラ、マンドロンチェロ
  • 横浜若葉マンドリン四重奏団
    • シンフォニア ト長調 (D.ジョバンニ)
    • 男性3、女性1。マンドリン2、マンドラ、ギター

神奈川マンドリン研究会のメンバーが結成したマンドリン室内楽団「湘南クインテット」は上記赤文字の2団体で参加し、どちらも本選出場を果たしました。

審査員

審査員は以下5名の各氏です(敬称略)。

  • 伊東福雄(ギタリスト、審査委員長)
  • 竹内郁子(マンドリニスト)
  • 折井清純(マンドリニスト)
  • 松元宏康(指揮者)
  • 萩原朔美(多摩美術大教授、映像作家、演出家、エッセイスト。小説家の萩原葉子は母、萩原朔太郎は母方の祖父。特別審査員)
結果と講評

途中休憩を挟んで16時45分頃に全8団体が演奏終了。審査時間中は群馬マンドリン楽団が演奏を披露してくださいました。審査には想定より時間がかかった模様で、17時30時頃の発表となりました。

結果は

  • 優勝 トルバドール・マンドリン・カルテット 
  • 2位 Clover quartet
  • 3位 横浜若葉マンドリン四重奏団

となりました。3位以下に与えられる特別賞(敢闘賞的なもの)は、該当団体無しという発表でした。

伊東福雄氏による表彰式での講評を簡単にまとめると、

  • 1位と2位の間は僅少
    • クールに点をつけた結果(の順位)だが、見方によっては逆転
  • 3位と4位との差が少し開いたので特別賞を出さなかった
  • 入賞した団体は
    • 楽器を良く鳴らしていた
    • 4人揃ってアンサンブルが良く出来ていた
    • 「もう少し迫力が無い」「もう少し楽器を鳴らせたら」入賞するかもしれないのに、という団体はあった
  • (コンクールでは)楽器を鳴らすことが大切。楽器を鳴らすためには
    • 基本的には姿勢が大切
      • 背が硬くならない
      • 手が硬くならない
      • 体を脱力して呼吸を合わせる

といったお話でした。講評は長くは無かったのですが、当日の演奏を聞いた上では、また普段の体験・経験から考えても大いに思い当たり、考えさせられる内容でした。確かに入賞した団体はこれらの観点から評価される演奏であったと思いますし、入賞も納得できるものでした。

そしてこの講評を踏まえたとき、私たちの仲間の「鎌倉カルテット219」「湘南プレクトラム・フォー」は、私個人としてはまず「楽器を鳴らす」ことが不足していたのかなと思っています。それはさらには私自身の演奏においてもいえることで、今後、これら講評のご指摘や当日の評価をじっくり考え、演奏に反映させていくことが出来ればと考えています。

演奏の感想

以下、各団体の演奏についての個人的な感想です。

入賞した団体の演奏はもちろんですが、出場各団体の演奏もそれぞれ良い点が多々ありました。さまざまな面で勉強になりました。

  • Mandolin Quartette Cocoon
    • 詩情がある瑞々しい演奏
  • 鎌倉カルテット219
    • 滑らか
    • 音楽の流れがある
  • Amenita
    • 曲の土着的な感じや楽しさがあらわれていた
    • 発音はっきり
  • トルバドール・マンドリン・カルテット
    • アイコンタクトと呼吸で合わせる
    • 体をやわらかく使う
    • 勢い、メリハリがある
    • パート間の意思疎通があり、感じが良い
    • 各パートが粒だっている
    • 音の入りが鮮やか
    • 印象に残る演奏
  • 湘南プレクトラム・フォー
    • 早弾きがめざましかったです
  • マンドリン アンサンブル アリエッタ
    • 各パートそれぞれ技術的に細かな工夫がなされていた
  • Clover quartet
    • バランスが良い
    • 勢いがある
    • 演奏が練れている
    • 細かいテクニックも安定して鮮やか。チェロの早弾きもすごくきれいでした…明治高校OB4人組だそうです(久保田孝先生の門下生?)
    • 音が分厚く感じる
    • アンサンブルの音がきれい
    • ずっときいていたい演奏
  • 横浜若葉マンドリン四重奏団
    • 呼吸で合わせる
    • 端正で、基本を押さえた丁寧な演奏

コンクールという緊張した場で、鍛錬され気力の充実した四重奏を次々聞かせていただき、コンサートとしても聞き応えのあるものだったように思います。

出場各団体の皆様の熱意と意気込み、日々の努力と鍛錬、すばらしい演奏に心から敬意を表したいと思います。皆様お疲れ様でした。ありがとうございました。【y.o.】

f:id:kana-ken:20081027132205j:image:w250 お土産に、朔太郎音楽祭の記念のお菓子を買って帰りました(株式会社旅がらす本舗清月堂|群馬の名菓製)。さくさくとして美味しゅうございます。

*1:私たちの本拠地・藤沢(神奈川県藤沢市)よりも少し寒くて薄着で行ったのを後悔しました……。

2008-08-25「PORTA BIANCA MANDOLINO ワークショップ2008」に参加しました

「PORTA BIANCA MANDOLINO ワークショップ2008」に参加しました

| 19:42 |  「PORTA BIANCA MANDOLINO ワークショップ2008」に参加しました - かなけん例会ダイアリー を含むブックマーク

昨日8月24日は、PORTA BIANCA MANDOLINO(ポルタ ビアンカ マンドリーノ)さんが催された「PORTA BIANCA MANDOLINO ワークショップ2008」に行きました。【y.o.】

ポルタビアンカマンドリーノ・ワークショップ概要

ドヴォルザークの弦楽セレナーデを 実際にヴァイオリン奏者をお呼びして練習してみたら どうなるの? と思って、本当にやってしまいます。

その音の本来持っているエネルギーは、音楽の流れは、方向性は、重さは、それぞれどうなっているかを実演してもらいます。

それをマンドリンで表現するにはどういう奏法が適切なのかをポルタビアンカと皆さんで考えていきたいというのが2008年ワークショップのコンセプトです。

ヴァイオリンの真似をするというわけではなく、音楽本来の姿を確認し、それに合わせてマンドリンの技術の向こう側にあるものを見ていきたいです。

全体的な感想としては、ワークショップの主旨・概要として上記ワークショップページに書いてある通りのことをまさに体験することができたように思います。生の弦楽五重奏を間近で見聞きできたこと、また、

  • 桐朋学園大学音楽学部オーケストラのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの5名の奏者による弦楽五重奏
  • PORTA BIANCA MANDOLINOのマンドリンオーケストラ(マンドリン・ギター合奏)

の「競演」「共演」となっていたことなどがすごく楽しかったですし、合田 香先生の説明を聞くことによって理解が深まり、非常に勉強になりました。

以下、個人的な感想です。

当日のワークショップで取り上げられた曲は、来る10/13のポルタビアンカマンドリーノ第7回演奏会プログラムから、

  • 弦楽のためのセレナーデ ホ長調 作品22(A.ドヴォルザーク/Porta Bianca Mandolino編)*1
  • 交響的前奏曲(U.ボッタキアリ)*2

の2曲です。*3

名曲を、本来の楽器とは違う楽器で演奏するということ

これらはもともと、

  • 弦楽五重奏曲として作曲された、いわば弦楽オリジナル曲(『弦楽セレナーデ』)
  • いっぽうはマンドリンオーケストラのために作曲されたマンドリンオリジナル(『交響的前奏曲』)

として、その分野ではそれぞれ名曲として有名です。

そういった曲をそれぞれオリジナルで弾いた場合とオリジナルとは違う楽器群で弾いた場合とでは、様々な点で違いが生じてくることになります。ヴァイオリン等の擦弦楽器と、マンドリンやギターといった撥弦楽器。楽器の構造や演奏方法が違う、そしてそれらが出す音の特徴、特性が違います。よって、同じ楽譜を見て同じようなアーティキュレーションなどで演奏したつもりでも、楽器によって実際に出てくる音や表現は自ずとかわってきてしまいます。

今回のワークショップではその問題を考え理解すること、打破するにはどうするかといったことに対する、試行錯誤と導きの場であったように思いました。

  • オリジナル曲をオリジナル楽器で演奏した場合に出てくる、その曲・その音が本来持っているもの(エネルギーは、音楽の流れは、方向性は、重さ*)、音楽本来の姿*を確認、理解する。
  • オリジナルとは違う楽器編成で演奏する場合、その音楽本来の姿や魅力をどうやって表現していくか。
  • もしかしたらオリジナルとは違う新たな魅力、これまで見えてこなかった魅力が出てくるかもしれない……。

ワークショップ中にとったメモから

合田 香先生のワークショップ冒頭のことば
  • 何がオリジナルなのか関係ない(オケ、吹奏楽、弦楽など)、調性を変更して演奏する場合もある。
  • それぞれの奏者のなかに「音楽」があるけれど、楽器の問題があってその「音楽」を外に出せない。弾けないと諦めてしまう。
  • マンドリンオケの(楽器の問題による)限界があるのを打ち破るにはどうしたらよいか。
  • 逆に、弦(ヴァイオリン)でマンドリン曲を演奏すると重くなりがち。マンドリンオケで演奏するとたっぷりした豊かな音になるが。
ドヴォルザークの弦楽セレナーデ

トレモロにこだわらない。

実際に自分で歌ってみて、どういう風に表現しているかに気付くこと。そして、その通りに演奏してみるとどうなるか。

第1楽章

  • マンドリンオケのテンポ設定(ヴァイオリンでやるより遅くなる)
  • 冒頭のヴィオラパートの八分音符の刻み。
    • 均等に刻まない、四拍子の音楽の流れを出す。
    • ヴィオラで演奏する際のボウイング…八分音符四つずつでダウン、アップと一往復のみ。
  • セカンド、チェロについて、音の立ち上がり、キャッチのスピードに注意。
    • マンドリンは音の立ち上がりが「うにゃー」となりがち。
    • ヴァイオリンではヴィヴラートをかけることで表情が広がる。
  • (14小節目など)マンドリンではオクターブを上げた音が出づらい。
  • 付点八分音符+16分音符のかたち
    • ヴァイオリンの弓、ボウイングの長さ。アップ・アップで弾くことにより推進力が生まれている。
    • ブロック、拍どりが大切→ボウイング→弓でやると音楽が前に進める。マンドリンのトレモロでやると(同じ場所での上下運動という特性もあり)音楽が同じ場所になる。
  • チェロのオブリガート
    • マンドロンチェロの場合、テナー音域がやかましい音になりがちだが、伸びやかな音で伸びやかに弾きたい。セロも歌うこと。
  • 53→54小節で、16分音符の連なりからメロディーが復活するニュアンスが欲しい。
    • (パートをまたいだ)音の受け渡し。
      • この注意から、「自分が実際に演奏する際にはこの曲の特徴は対位法でもあることにも留意してやりたい」と思いました。

第3楽章

  • スケルツォ
    • モーツァルトのような「きゃっきゃっ」とした感じに。
    • 疾走感が欲しい。
    • 重厚さはいらない(チェロ冒頭などで)。
  • (ヴァイオリンの)減衰する感じが欲しい。
  • (F)2小節目の、ヴィオラの八分音符の入り方が大切。
    • 八分音符は切りすぎない。

第5楽章

  • オクターブで上がる音の連続→ニュアンスを変えていく。
    • 弓の強さを変えている。
  • 「タンタタン」→弓でキャッチする感覚、長さが大切。

交響的前奏曲

昨日のワークショップでは、マンドリンオリジナルのこの曲を、

  • マンドリンオーケストラだけの演奏(本来の編成の演奏)
  • ヴァイオリンなどによる弦楽五重奏+ギターパートで演奏
  • マンドリンオケと弦楽五重奏の共演

の3パターンで演奏して聞き比べ、違いを考える、といった感じでした。わたし自身、マンドリンオリジナルの中で「交響的前奏曲」はとても好きな曲の一つなのですが(わたしと同じような方は沢山いらっしゃると思います。人気のある名曲です)、今回初めて、これをヴァイオリンの弦楽合奏が奏でるのを聴きました。その演奏を聴いた感想としては以下の通りです。

  • ヴァイオリン属の響きとこの曲がよく合っている。
    • 合田香先生は、「冒頭はマーラー的な響きがあり、やがてラ・ボエームのような感じだ」、といった感想を仰っていました。
  • イタリアのロマン派的な甘やかさが、(マンドリンオケで演奏しているときよりも)いっそう出ているのが良かった。
    • マンドリンオケだともう少し構成的、重厚さ、堅さ……といったニュアンスになるように思います。

以上

最初にも述べたとおりですが、「音楽をマンドリンやギターといった楽器を通じて演奏すること」「ヴァイオリンとマンドリンの違い」ということへの理解が深まり、非常に勉強になりました。

昨日のことを参考にしながら、わたし自身もこれからいろいろトライしてみたいです。

貴重な体験をさせていただいたことに心より感謝いたします。ありがとうございました。

*1:参照:wikipedia:アントニン・ドヴォルザークwikipedia:弦楽セレナーデ (ドヴォルザーク)Serenade No. 1, Op. 22 & Serenade No. 2, Op. 44 - Google ブック検索

*2:参照:交響的前奏曲no title

*3:その他に弦楽五重奏の皆さんの参加までの間に、ポルタビアンカの皆さんだけで、同じく演奏会プログラムから、組曲「中世の放浪学生」(A.アマデイ/中野二郎編)を演奏してくださいました。